ステンレス鋼材・・・鉄(Fe)を主成分(50%以上)とし、クロムを10.5%以上含む、錆びにくい合金。
※以下の様な系統に分類することができます。(主要なものに限定して表記しています)
非磁性で、焼き入れによる硬化はしない。溶接性、耐食性に優れ、高度の加工が可能。
鋼種 | 成分 | 特徴・用途 |
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SUS 301 | 17Cr-7Ni | SUS304からCrとNiを減らし、加工硬化性を持たせた鋼種。主にバネやシャフトに用いられる。 |
SUS 301J1 | 17Cr-8Ni | SUS301よりも耐食性を増し、ストレッチ加工性も高めた鋼種。主にバネ、厨房機器、車両等に用いられる。 |
SUS 301L | 17Cr-7Ni-N-LC | SUS301の低炭素鋼で、耐粒界腐食性や溶接性に優れている。主に鉄道車両等に用いられる。 |
SUS 302 | 18Cr-8Ni-0.1C | 冷間加工により強度を得られる。主に一般耐食用、建築用材、設備用機械部品等に用いられる。 |
SUS 303 | 18Cr-9Ni-S | 被削性を向上させた鋼種で、SUS304よりも加工性は高いが、耐食性は劣る。主にボルト、ナット等に用いられる。 |
SUS 303Cu | 18Cr-9Ni-3Cu-S | SUS303の被削性、冷間加工性を向上させたもの。主にシャフト類に用いられる。 |
SUS 304 | 18Cr-8Ni | ステンレス鋼材の中でも、耐熱鋼として最も多く普及している鋼種。耐食性、溶接性、機械的性質が良好です。 |
SUS 304L | 18Cr-9Ni-LC | SUS304の中で、極低炭素の鋼種です。錆びにくく、耐粒界腐食性に優れ、加工しやすい鋼種。 |
SUS 304N1 | 18Cr-8Ni-N | SUS304に窒素を添加し、強度を高めた鋼種です。構造用の強度部材にも使われます。 |
SUS 304N2 | 18Cr-8Ni-N-Nb | SUS304に窒素とニオブを添加し、強度を高めたもの。 |
SUS 304Cu | 18Cr-8Ni-1Cu | 約1%の炭素を添加する事で、加工硬化を防ぎ、深絞性を持たせた鋼種。 |
SUS 304J1 | 17Cr-7Ni-2Cu | SUS304の窒素を低めにしたもの。深絞性に優れており、シンクや温水タンクに使われる。 |
SUS 304J2 | 17Cr-7Ni-4Mn-2Cu | SUS304よりも深絞成形性に優れており、風呂がまやドアノブ等に使われる。 |
SUS 304LN | 18Cr-9Ni-N-LC | 窒素を添加し、SUS304Lよりも強度を高めた鋼種。耐粒界腐食性に優れています。 |
SUS 305 | 18Cr-11Ni | SUS304に比べ、加工硬化が低いため、加工性に優れる。冷間圧造用。 |
SUS 305J1 | 18Cr-12Ni | SUS305の低炭素鋼。加工硬化性が低く、プレス成型、絞加工性が良好。 |
SUS 309S | 23Cr-13Ni | SUS304よりも耐食性、耐酸化性に優れ、耐熱鋼として熱処理、炉部品等に使われる。 |
SUS 310S | 25Cr-20Ni | SUS309Sよりも耐酸化性に優れ、耐熱鋼として熱交換器、炉部品等に使われる。 |
SUS 315J1 | 18Cr-9Ni-1.5Si-2Cu-1Mo | SUS304よりも、耐応力腐食割れ性、耐孔食性を向上させた鋼種。温水機器等に使われる。 |
SUS 315J2 | 18Cr-12Ni-3Si-2Cu-1Mo | SUS304よりも、耐応力腐食割れ性、耐孔食性を向上させた鋼種。溶接部での耐食性に優れている。 |
SUS 316 | 18Cr-12Ni-2Mo | モリブデンを添加することで、耐海水性を向上させた鋼種。海水ポンプ、配管部品等に使われる。 |
SUS 316L | 18Cr-12Ni-2Mo-LC | SUS316の極低炭素鋼で、耐粒界腐食性を向上させたもの。 |
SUS 316N | 18Cr-12Ni-2Mo-N | SUS316の強度を向上させた鋼種。耐食性強度部材等に使われる。 |
SUS 316LN | 18Cr-12Ni-2Mo-N-LC | SUS316Lに窒素を添加し、強度を高めたもの。耐粒界腐食性に優れている。 |
SUS 316J1 | 18Cr-12Ni-2Mo-2Cu | SUS316よりも、耐食性、耐孔食性に優れている。 |
SUS 316J1L | 18Cr-12Ni-2Mo-2Cu-LC | SUS316J1の極低炭素鋼で、耐粒界腐食性を持つ。 |
SUS 321 | 18Cr-9Ni-Ti | 溶接後、熱処理が不能な部品等に使われる。 |
SUS 347 | 18Cr-9Ni-Nb | SUS304にニオブを添加し、耐粒界腐食性を向上させた鋼種。 |
SUS 317 | 18Cr-12Ni-3Mo | SUS316よりも耐孔食性に優れており、染色設備等に使われる。 |
SUS 317L | 18Cr-12Ni-3Mo-LC | SUS317の極低炭素鋼で、耐粒界腐食性に優れている。 |
SUS 317J1 | 18Cr-16Ni-5Mo | SUS317よりも耐食性に優れており、酢酸プラントや漂白装置等に使われる。 |
SUS 312L | 20Cr-18Ni-6Mo-N | 低炭素の組成を持ち、耐食性と耐熱性に優れている。ボイラ用配管等に使われる。 |
SUS 836L | 20Cr-25Ni-6Mo-N | 低炭素で、耐孔食性、耐海水性にも優れている。 |
SUS 890L | 20Cr-25Ni-4Mo-Cu | 極低炭素で、耐海水性に優れている。海水使用機器に使われる。 |
焼き入れにより硬化します。棒状から平鋼状まで使用され、高強度、耐食、耐熱性が必要な部品に使われる。
鋼種 | 成分 | 特徴・用途 |
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SUS 403 | 13Cr-0.1C | 耐熱性に優れている。コンプレッサーやバルブ部品に使われる。 |
SUS 410 | 13Cr | 耐食性、加工性を持ち、刃物やネジなど、一般的なものに使われる。 |
SUS 410J1 | 13Cr-0.1C-0.4Mo | SUS410の耐食性を向上させ、高温用部品に使われる。 |
SUS 410S | 13Cr-0.08C | SUS410の耐食性や成形性を向上させたステンレス。 |
SUS 420J1 | 13Cr-0.2C | 焼き入れ状態での硬さが高く、耐食性に優れている。機械部品、モーターシャフトに使われる。 |
SUS 420J2 | 13Cr-0.3C | SUS420J1よりも、焼き入れ後の硬さが高く、刃物やバルブ部品等に使われる。 |
SUS 420F | 13Cr-0.3C-S | 焼き入れ硬化があり、SUS420J2よりも被削性を持つ。 |
SUS 416 | 13Cr-0.1C-0.15S | ステンレス鋼の中で、最も被削性に優れた鋼種。ネジやボルト、ナットに使われる。 |
SUS 431 | 16Cr-2Ni | Niを含有し、熱処理で高い機械的性質を持つ。SUS410よりも耐食性に優れている。 |
SUS 440A | 18Cr-0.65C | 焼き入れ硬さがSUS420J2よりも高く、耐食性にも優れている。刃物などに使われる。 |
SUS 440B | 17Cr-0.8C | SUS440Aよりも更に硬く、靱性を持つ。刃物に使われる。 |
SUS 440C | 17Cr-1.1C | 焼き入れにより、高強度で、ステンレス鋼の中で最も硬度が高い鋼種。 |
SUS 440F | 17Cr-1.1C-高S | SUS440Cよりも被削性を向上させ、切削部品等に使われる。 |
ニッケルを含有していないので安価。16%以上のクロムを含有しているため、マルテンサイト系よりも耐食性が良く、耐熱性もある。加工しやすく、熱処理をしても硬化しない。家電製品に使われる。
鋼種 | 成分 | 特徴・用途 |
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SUS 405 | 13Cr-A1 | 自硬性を軽減させた、タービン、焼き入れ用部品などに使われる。 |
SUS 430 | 18Cr | 耐食性、耐熱性に優れ、磁性がある。建築内装用、家庭用器具、家電部品等に使われる。 |
SUS 410L | 13Cr-LC | SUS410よりも炭素量を低くし、溶接部の曲げ性、加工性に優れている。 |
SUS 430F | 18Cr-0.5Mo | SUS430に被削性を持たせたもの。耐食性、耐酸性などは劣る。 |
SUS 434 | 18Cr-1Mo | SUS430よりも塩分に強い。海水用部品に使用される。 |
SUS 447J1 | 30Cr-2Mo-Ti,Nb-LCN | 耐食性に優れ、チタンと同等の耐候性がある。屋根や外装に使用される。 |
SUS XM27 | 26Cr-1Mo | SUS447J1に似ており、耐食性と軟磁性の両方が必要な際に使われる。 |
オーステナイトとフェライトのふたつの金属組織を持つステンレス。耐海水性、対応力腐食割れ性に優れ、強度も高い。
鋼種 | 成分 | 特徴・用途 |
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SUS 329J1 | 25Cr-4.5Ni-2Mo | オーステナイト・フェライトの二相組織を持ち、耐酸性、耐孔食性に優れ、強度が高い。 |
SUS 329J3L | 22Cr-5Ni-3Mo-0.1N | 硫化水素、炭酸ガス、塩化物などを含む環境に抵抗がある。 |
SUS 329J4L | 22Cr-6Ni-3Mo-0.2N | 海水などの高濃度塩化物環境においても、耐孔食性に優れている。 |
非常に硬度の高いステンレス。更に硬度と耐食性のバランスに優れている。
鋼種 | 成分 | 特徴・用途 |
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SUS 630 | 17Cr-4Ni-4Cu-Nb | 析出硬化性を持たせた、耐食性と高強度を兼ね備えている。ボルト、シャフト類に使われる。 |
SUS 631 | 17Cr-7Ni-1AI | 析出硬化性を持たせた、耐食性と高強度を兼ね備えている。スプリングやワッシャー、計器部品などに使われる。 |
SUS 631J1 | 17Cr-8Ni-1A1 | 631に伸線加工性を持たせ、磁性が強い。スプリング、ワッシャーなど |
炭素工具鋼・・・加工性、焼入性、価格等で最も広く使われている鋼材。
刃物や切削具のように硬いものから、メリヤス針、メジャーテープのように弾性を必要とする物まで、あらゆる分野に使われる。
鋼種 | 特徴・用途 |
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SK140(SK1) | 炭素工具鋼の中では最も炭素の含有量が多いため、硬度、耐摩耗性、切削能力が必要な場合に使用される。 |
SK120(SK2) | 炭素工具鋼の中でも、焼入性、耐摩耗性は優れており、ドリルやカミソリ、ぜんまい等に使われる。加工性には劣る。 |
SK105(SK3) | 焼入性、耐摩耗性は良好。ゲージ、治工具等に使われる。 |
SK95(SK4) | 炭素工具鋼の中でもよく使われている鋼種で、加工性、耐摩耗性も良好である。あまり熱が発生しない場合に使われる。 |
SK90 | 新規格の鋼種で、炭素量は1%を切り、プレス型やゲージ、針などに使われる。 |
SK80 | こちらも新規格の鋼種で、炭素量は低く、プレス型、ぜんまい等に使われる。 |
SK85(SK5) | 炭素工具鋼の中で最もよく使われている鋼種で、加工性、耐摩耗性も良好である。 |
SK75(SK6) | 炭素量は低めで、靭性が必要な場面で使用される鋼種。 |
SK65(SK7) | 加工性は特に優れているが、耐摩耗性、焼入性が劣っている。 |
SK70 | 低炭素で、耐摩耗性は劣るが、靭性には優れており、プレス型やぜんまいに使用される。 |
SK60 | 炭素工具鋼の中で、最も炭素の含有量が少なく、靭性に優れている。 |
炭素鋼・・・炭素工具鋼の炭素量を減らし、ある程度の強度と粘り強さを必要とする一般的用途に適している。
鋼種 | 特徴・用途 |
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S45C | 代表的な鋼種。加工性に優れており、機械構造用炭素鋼。 |
S50C | 耐摩耗性は良好で、加工性にも優れている。自動車部品やベアリング部品等に使われる。 |
S55C | 炭素の量が比較的多く、耐摩耗性、焼入性に優れる。時計部品等に使われる。 |
S60C | 炭素の量が多く、炭素鋼の中でも焼入性に優れている。加工性は劣る。 |
ピアノ線・・・炭素を0.6~0.95%含有した強度の高い高級線材。A種、B種、V種の三種類があり、いずれも高い強度、耐久性、疲労強度を持つ鋼線です。
鋼種 | 特徴・用途 | |
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ピアノ線A種 | SWP-A | B種よりも靭性があり、厳しい加工に向いている。自動車のクラッチばね、ブレーキばね、電子部品、工作機械等のばねに使用されている。 |
ピアノ線B種 | SWP-B | A種よりも引張強さが高いが、加工性は悪くなる。A種と同じく、自動車のクラッチばね、電子部品、工作機械等のばねに使用される。 |
ピアノ線V種 | SWP-V | 弁ばね用。高強度、高耐久性が求められる。自動車のエンジン等、厳しい環境下で使用される。 |
タングステン・・・金属の中で最も融点が高く、超高温部品に使用される。
引っ張り強度も高く、耐酸性もあるが、タングステン含有材は切削加工の被削性に劣る。
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